電子書籍についての一考

電子書籍は、文字通り電子化された書籍のことです。人類の歴史の中で、書籍といえば、今までは「印刷」技術によって成り立っているものだったのですが、ここ数年で、「印刷」ではない書籍、つまり電子書籍というものが出現し、急成長しています。

これは、革命的とも言える進化ではないでしょうか。
「聖書」に代表されるように、情報を伝播する媒体として、今までは印刷物が絶大な力を持っていました。同じ情報を何十冊、何千冊、何万冊と印刷し、複製することで、情報は世界中に伝播していきます。

しかし、電子書籍の場合は、インターネットの波にのって、一瞬で同じ情報を伝播することができます。もちろん、電子書籍だけではなく、Webというものが、情報伝播のタイムラグを無くし、世界中の人々が、同じ瞬間に同じ情報を受け取ることができるようになっているのです。

改めて考えると、今まで何百年の間、「印刷物」という紙媒体によって伝播されてきた情報というものが、最近わずか数年の間に、一瞬で情報が行き交う時代になったのです。しかも、コストはほんの僅かで済みます。


[PR]電子書籍に対抗しうるか?オンデマンド印刷で、冊子を作成する方法もあります。電子書籍はデバイスが必要になりますが、印刷なら、デバイス不要で誰でも読むことができます。
冊子印刷は、コチラから


電子書籍の利点というのは、「いくら複製しても、コストが変わらない」という点に尽きると思います。
また、複雑な流通ルートを介す必要がなく、消費者にダイレクトに情報を届けることができます。

また、もう一つの利点として、Webページでは表現できない、多彩な表現ができるということです。
Webページの場合は、自由なデザインをするのは難しいのですが、電子書籍の場合は、印刷物のデザインと同じデザインで、作成することも可能です。

このことにより、漫画、ファッション雑誌、通販雑誌などのコンテンツが、次々と電子書籍化されています。
電子書籍というと、どうしても小説などの文字中心の書籍を連想しがちですが、今後の電子書籍をリードしていくのは、コミックや雑誌などのコンテンツだと思います。

電子書籍の唯一であり、最大の欠点は、電子書籍を読むためのデバイスが必要なこと、だと思います。
iPadに代表される、タブレット端末や、Kindleなどの電子書籍リーダー、スマートフォンなどです。もちろん、PCでも電子書籍を見ることができます。

これらの端末がないと、電子書籍を見ることができません。印刷物の場合では、デバイスはまったく必要なく、誰でも、いつでも書籍を見ることが出来るのですが、この点では印刷物に敵うことがありません。

電子書籍は、電子機器端末に依存するので、例えば停電になり、電子デバイスの充電ができなくなると、読むことができません。
また、端末も、時代とともに変化していき、現在の技術や端末が陳腐化する危険性もはらんでいます。

あと何十年後に、現在流通している電子書籍が完全に見られる保証は、どこにもありません。印刷物の初期なら、こうした心配は、まったくなくなります。
何百年前に執筆された印刷物の書籍も、なんの不自由なく現在の人々が読むことができます。

こうした欠点があるにせよ、電子書籍は、ある分野においてますます活性化していくことでしょう。

筆者の考えでは、印刷物の書籍そのものは、なくなることはないと思います。電子書籍を読むよりは、紙の書籍を読むことを好む人もいますし、保存性や汎用性もすぐれています。
しかし、ある分野においては、印刷書籍の市場は、縮小傾向に向かうと思います。

一方で、電子書籍化の流れは、今後ますます加速していくと思います。

どちらのメディアも、一長一短なので、当面は同じコンテンツが、印刷物でも見られるし、電子書籍でも見られるという、共存関係が続いていくと思います。

電子書籍イメージ